どこにでもいる「他責の人」
「うまくいかないのは、環境のせいだ」
「お客様が来ないのは、広告が悪いから」
「自分が変われないのは、誰も教えてくれないから」
こんな言葉を、僕は何百回と聞いてきました。
もちろん、最初は僕自身も「そうかもしれない」と思っていたんです。
だって、実際に環境が悪かったり、制度が未整備だったり、誰かのフォローがなかったりすることもあるから。
けれど、ある時から気づいたんです。
“本当に変わる人って、どんな環境でも動き出す人なんだな”って。
そして逆に、
“変われない人って、どんなに整った場所でも「やらない理由」を探してしまう人”なんだと。
僕は、過去に何百人という美容師さんたちと出会ってきました。
その中には、正直、口ばかりで全然動かない人もいました。
でも、そういう人が全員ダメかというと、そうじゃない。
「他責」が口ぐせだった人が、「自責」に切り替わる瞬間って、ちゃんとあるんです。
そしてその瞬間から、すべてが変わっていく。
今日はそんな話を、じっくりさせてください。
なぜ人は他責になるのか?
人が「他責」になるのには、ちゃんと理由があります。
一つは、“その方が楽”だから。
「自分は悪くない」と思っていた方が、心が軽い。
「誰かが悪い」「制度が悪い」「タイミングが悪い」と思っていた方が、傷つかない。
でもこれは、ある意味“防衛本能”です。
実は、真面目な人ほど他責になりやすいとも言われます。 なぜなら、真面目であればあるほど「うまくいかない自分」を認めたくないから。 プライドが高い人ほど、自分が未熟だったと認めるのが怖い。 だから、無意識に“責任を外に逃がしてしまう”んです。
でも、それを繰り返している限り、いつまで経っても行動は変わりません。
「やらない理由」「できない理由」が頭の中をぐるぐるして、行動する前にストップがかかってしまう。
じゃあ、どうやって“自分ごと”にしていくか?
それが一番のカギです。
僕が出会ってきた“変わらなかった人”たち
ALLICIANTを立ち上げてからも、たくさんのスタッフや美容師さんと出会ってきました。
なかには「この人は伸びるだろうな」と期待していた人もいます。
でも、そういう人ほど、ある一定の壁で止まることも多い。
例えば──
「時間がない」と言って、勉強しない人
「誰かが教えてくれたらやる」と言うけど、自分から学ぼうとしない人
「前のサロンではこうだった」と言い訳し続ける人
言葉では「成長したい」と言っていても、行動が伴わない。
そして何より、誰かのせいにしている限り、絶対に覚悟が決まらない。
やらなかった結果を、自分の責任として受け止められないから。
僕はいつも伝えています。
「うまくいかない時こそ、自分に問いかけてほしい」と。
“俺にできること、まだあるんちゃうか?”って。
“もしかしたら、変われてないのは自分かもしれん”って。
そう気づいた瞬間、行動が変わる。
行動が変われば、結果も変わる。
それをALLICIANTでは、何度も目の当たりにしてきました。
行動できる人とできない人の決定的な違い
「やる人」と「やらない人」の差って、才能でも能力でもないんです。
たったひとつ、「自分の人生を“自分ごと”にできているかどうか」。
例えば、あるスタッフが「今月売上が伸びませんでした」と報告してきたとします。
このとき、“やらない人”はこう言います。
「天気が悪かった」
「キャンセルが多かった」
「インスタ見て来た人、全然予約につながらなかった」
でも、“やる人”は、たとえ同じ状況でもこう言います。
「もっと事前カウンセリングを工夫すれば良かった」
「次からは、こう伝え方を変えてみます」
「お客様の変化に気づけなかった自分のアンテナが甘かったです」
この違い、わかりますか?
言ってることはほぼ同じ。
でも“責任の矢印”が、自分に向いているか、外に向いているかだけで、成長スピードが全然違うんです。
ALLICIANTでは、年に数回、オーナー斉藤として面談をする機会があります。
どんなに結果が出ていない人でも、「自分が何をすればいいか」を言語化し始めた瞬間から、必ず変化が生まれます。
だから僕は、「行動できる人になろう」じゃなくて、
「自分の人生を自分の責任として捉えられる人になろう」と伝えています。
ALLICIANTが掲げる“自己実現”という考え方
ALLICIANTの理念は「自己実現」です。
これは「夢を叶える」とか、「目標を達成する」という意味だけではありません。
僕たちが定義する“自己実現”とは──「理想の人生を、自分の力で叶えていける状態」のこと。
例えば、
・売上を上げたい → どうやってお客様に価値を届けるかを考える
・休みを増やしたい → 効率的に働く方法を模索する
・もっと自由に働きたい → 自分のファンを増やす努力をする
“なりたい未来”は、人によって違います。
でも、その未来を叶えるために「誰かがなんとかしてくれる」と思っていたら、いつまでも実現しません。
ALLICIANTでは、「自由」と「責任」はセットだと伝えています。
自分の選択に責任を持ち、自分で道をつくる。
それができるようになった時、初めて「本当の自由」が手に入るんです。
「他責な人」が変わった実際のエピソード
実は、以前こんなスタッフがいました。
最初のころは、ほぼ毎日、誰かのせいにしていました。
「材料が足りないからカラーが上手くいかなかった」
「お客様のニーズが高すぎて無理」
「前の職場では教えてもらえたのに、ここでは全部自分でやらないといけないんですか?」
何度も面談して、何度も突き放そうと思った。
でも、どこかで「この人は変われる気がする」と思ったんです。
だからある時、こう言いました。
「今のままじゃ、きみの人生、誰かにずっと握られたままやで」
その言葉が、その人の胸にズシンと刺さったらしくて──
次の日から少しずつ行動が変わっていったんです。
・材料がなければ、事前に確認するようになった
・お客様のニーズに応えられるよう、練習の時間を増やした
・「教えてもらえるのが当たり前」から、「自分で調べて動く」が習慣になった
半年後、その人は指名売上で全体トップに立ちました。
いまでは、自分より年下の後輩に“責任を持つことの意味”を語れる存在になっています。
変化って、ほんの少しの気づきと、行動から始まるんですよね。
自責を育てるための環境づくり
人が“自責”に切り替わるには、2つの要素が必要です。
ひとつは、本人の気づき。
そしてもうひとつは、環境からの影響です。
ALLICIANTでは、「どうすればこの人が“自分の人生”として行動できるようになるか?」を常に考えています。
そのためにやっていることは──
・フィードバック面談で、他責の言葉をやんわりと自責に変換する
・行動できたことを必ず認め、「やれば変わる」を体感させる
・目標は数字ではなく“意味”で立てる(例:「なぜこの売上を目指すのか?」)
・壁にぶつかった時は「相談」ではなく「提案」を促す
自分の頭で考え、自分の言葉で語れるようになると、人は自然と“責任の矢印”を自分に向けられるようになります。
そのとき初めて、「やる・やらない」は“自分の選択”だと気づけるようになる。
その瞬間を、何度も見てきました。
美容師だからこそ、“他責”を卒業する意味がある
美容師という仕事は、想像以上に“人間力”が問われる仕事です。
技術だけでもダメ、接客だけでもダメ。
そして、“誰かのせい”にしていては絶対に伸びない職業だと思っています。
なぜか?
それは、お客様の反応が、すべて“鏡”のように返ってくるからです。
たとえば──
・カウンセリングが浅いと、仕上がりに違和感が残る
・本音を引き出せないと、リピートにつながらない
・自分がブレていると、信頼されない
つまり、自分の在り方がそのまま“結果”として現れる仕事なんです。
だからこそ、他責をやめて「どうすればもっと伝わるか?」「もっと喜んでもらえるか?」と考えられる人は、圧倒的に成長スピードが速い。
自分の技術や接客が「どんな影響を与えているか」に敏感になり、細部までこだわれるようになる。
その変化って、やっぱり“自責”がベースにあるかどうかで決まるんですよね。
ALLICIANTでは、「美容師=サービス業」ではなく「美容師=プロの提案者」だと定義しています。
だからこそ、まずは自分の人生を“自分で選んでいる”という実感を持ってほしい。
それが、結果としてお客様の信頼に変わっていきます。
僕自身も“他責の壁”にぶつかった
ここまで偉そうに語ってきましたが、正直に言うと──
僕も昔は、かなり“他責”な人間でした。
広告代理店の仕事をしていた頃、うまくいかない案件があると、
「クライアントが無茶言うからやろ」
「予算が少なすぎるんや」
「現場が動かへんから仕方ない」
そんな風に思っていました。
どれも“もっともらしい言い訳”なんですよね。
でも、あるプロジェクトで大きなトラブルが起きて、全責任が僕に降りかかった時、
初めて「逃げられへんな」って思ったんです。
誰のせいでもなく、自分が動かなかった、自分が確認しなかった、自分が覚悟してなかった。
全部、自分に返ってきたんです。
そこからです。
他責をやめたのは。
うまくいかない時ほど、「俺、もっとできたんちゃうか?」って問いかけるようになった。
そうすると不思議なことに、周りの人も責めるんじゃなくて、自然と巻き込めるようになっていったんです。
そして気づいたんです。
「人を変えようとするんじゃなく、自分の姿勢が変われば、空気が変わる」って。
これが、僕がALLICIANTを通じて伝えたい、一番根っこの部分かもしれません。
人は「誰かのせい」では絶対に変われない
人は変わります。
でもそれは、“誰かに変えられる”のではなく、“自分で気づいた瞬間”に始まります。
ALLICIANTは、ただ髪をキレイにする場所ではありません。
“人生を自分でデザインできる人”を育てる場所です。
そのために僕は、美容師としてだけじゃなく、“一人の人として”自立できる環境を用意したい。
その想いで、サロンも教育も、求人も、商品開発も、すべてをつくっています。
「他責」をやめるって、怖いことです。
でも、その分だけ、自由になれます。
誰かのせいにしていた時は、ずっと“被害者”でしかいられなかった。
でも、自分の人生に責任を持った瞬間、“主役”になれる。
自分で選び、自分で進み、自分でつかみ取る人生。
ALLICIANTでは、そんな生き方をしているスタッフが、たくさん育っています。
そして僕は、これから出会う人にも、こう伝えたい。
「他人のせいにしたままじゃ、なにも変わらん」
「でも、自分のせいだと気づけたら、なんでも変えられる」って。
その第一歩を、今日この瞬間から一緒に踏み出してみませんか?
【あとがき】
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
もしこの記事が、今まさに「うまくいかない」「何かを変えたい」と思っている方の心に、ほんの少しでも火を灯せたのなら、これほど嬉しいことはありません。
他責から自責へ──
これは簡単な話ではないけれど、
でも確実に、“人生を変える力”があります。
僕らALLICIANTは、そんな変化の連鎖を、これからも本気でつくっていきます。
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