【はじめに】

美容師を辞めたいと思ったことは、一度もない。
ただ、「このままじゃいけない」とは、何度も思ってきた。

もっと早くデビューしたい。
もっとお客様に向き合いたい。
もっと技術に見合った報酬を得たい──。

藤田諒哉さんが歩んできたのは、「向上心」と「現実」のはざまで模索し続けてきた道のりだった。

同期100人のうち、3年残ったのはわずか10人。
そんな過酷な美容業界の中でも、彼は前を向き続けてきた。
そして今、「ようやく自分らしく働けている」と語る。

そんな藤田さんに、これまでの歩みと、ALLICIANTで見つけた働き方について伺った。

第1章:早くスタイリストになりたい──でも、それを許されない配属先だった

斉藤(以下、斉):
今日は改めてありがとうございます。こうして藤田さんと話せる時間は、僕にとってもすごく貴重なんです。

藤田(以下、藤):
いえ、こちらこそありがとうございます。今の働き方に辿り着けたこと、本当に感謝しています。

斉:
美容師になったばかりの頃から、ずっと「早くデビューしたい」という気持ちが強かったと聞いています。最初に就職したのはどちらでしたか?

藤:
関西で展開している大手サロンです。美容学生のとき、学校の先生やアルバイト先のオーナーから「まずは大手で経験を積むといい」とアドバイスをもらったことがきっかけでした。

斉:
環境としては、教育体制や制度が整っていそうな印象ですよね。

藤:
そうですね。正直、自分も「大手=安心」という気持ちで入りました。
でも、いざ配属された店舗では、思っていた以上にレッスンの時間が取れず、検定も月に1回しか受けられませんでした。
スタイリストデビューまでに3〜5年かかると言われたときは、さすがに焦りました。

斉:
周囲の環境によって、デビューまでのスピードに差が出てしまうのは厳しいですね。

藤:
はい。僕としては一日でも早く現場に立ちたかったので、「このままでは前に進めない」と思い、半年で異動を希望しました。

第2章:会社史上最速でデビュー──でも、評価されるどころか疑われた

斉:
異動先では環境が改善されたんですか?

藤:
はい。営業中でもレッスンができる時間が確保されていて、検定も月に3回以上受けられる体制でした。
そのおかげで、1年半でスタイリストデビューできました。会社でも最速だったみたいです。

斉:
それは素晴らしいですね。…でも、その後の評価があまり良くなかったとか。

藤:
正直に言うと、「早すぎるんじゃないか」「ちゃんと練習してるのか」といった不安の声が多かったです。
僕としては真剣に取り組んできたつもりだったので、そうした声は悔しかったですね。

斉:
誰よりも努力してきたのに、その頑張りが疑われるのはつらいですね。

藤:
はい。でも、それでも現場に立てること自体は嬉しかったので、まずはお客様に喜んでいただけるように集中しようと切り替えました。

第3章:1日10〜15人を担当しても、手取りは20万円台

斉:
デビュー後の働き方はどうでしたか?

藤:
ジュニアスタイリストとして、カット+カラーで単価4,000円台の枠で集客してもらっていました。
毎日フリー客の入客があり、1日で10人以上担当することもありました。

斉:
アシスタントは?

藤:
いませんでした。すべてマンツーマンで対応していました。同期と2人でローテーションしていたので、フォローに入ることはありましたが、基本的には自分一人でこなす日々でした。

斉:
1日10人をマンツーマンで…体力的にもかなりハードですね。

藤:
そうですね。かなり鍛えられました(笑)
ただ、頑張っても売上は月40〜60万円ほど。手取りは20万円を少し超える程度でした。

斉:
生活に余裕ができる金額ではないですよね…。

藤:
はい。「このままでは、自分の努力に見合った報酬は得られない」と思いました。

第4章:髪質改善専門店で手に入れた“時間の自由”と、見えてきた“収入の限界”

斉:
その後、髪質改善専門店に転職されたんですね。

藤:
はい。時間の自由度が高くなって、営業終了後のレッスンもほとんどなくなりました。お客様と向き合う時間も落ち着いて取れるようになりました。

斉:
働きやすくなった分、気持ち的には楽になったんじゃないですか?

藤:
そうですね。労働時間が短くなったことはありがたかったです。
でも、その分収入はやっぱり抑えられてしまって、手取りで月25万円前後。
生活はなかなか安定せず、夜はホテル、休日はコンビニでアルバイトをしていました。それでも収入は30万円前後でした。

斉:
美容師として働きながら、掛け持ちでバイトも…それは本当に大変だったと思います。

藤:
「お金がないことが当たり前」という状態が続いていました。
買いたいものが買えない、行きたい場所にも行けない──そのストレスは大きかったですね。

第5章:「このままじゃ夢を叶えられない」──独立か、次の選択肢か

斉:
そこから、独立も視野に入れていたんですよね?

藤:
はい。このままサロン勤務を続けても、将来的に収入が伸びるイメージが持てなくて。
「いっそ自分でやってみたほうがいいのかな」と考えるようになっていました。

斉:
そんなときに、ALLICIANTを知っていただいたんですよね。

藤:
はい。知人を通じて紹介していただきました。「頭皮・髪質改善に特化したサロン」と聞いて、正直最初は未知の分野だったので不安もありました。

斉:
でも、それ以上に「可能性」を感じてくれた?

藤:
はい。「ここなら、もっとお客様に向き合えるかもしれない」「この環境で自分の力を試してみたい」と思いました。
何より、話を聞いていてワクワクしたんです。それが、決め手でした。

第6章:「自分にできるのか?」──ALLICIANTで始まった未知の挑戦

斉: 藤田さんがALLICIANTに来てくれたのって、ちょうど中山寺店の立ち上げタイミングでしたよね。

藤: はい。サロンの内装がまだ終わっていなくて、「ほんまにここでスタートするんや…!」っていう(笑)

斉: そうでしたね(笑)でも、藤田さんは初対面のときから印象が強かったんです。「この人、本気で“何か”を変えたいと思ってるな」って。

藤: まさにそうでした。髪質改善専門店にいた時も独立を考えていたんですけど、「このまま自分1人でやるのが正解なのか?」って迷いもあって。 そんなときにALLICIANTの話を聞いて、「自分の価値をもっと高められる場所かもしれない」と思ったんです。

斉: でも、うちってちょっと変わってますからね(笑)最初は不安もあったんじゃないですか?

藤: 正直ありました(笑) 「頭皮改善って何?」「カウンセリングってどうやるの?」っていう状態だったので、最初の1〜2ヶ月はとにかく知識のインプットと、斉藤オーナーとのミーティングをひたすら繰り返してました。

斉: 懐かしいね(笑)その時って、どういう感情でした?焦り?プレッシャー?

藤: 焦りが一番大きかったですね。結果を出さないといけない中で、空回りしてる感覚というか…。 でも、同時に「ここでやりきれたら、自分は確実に変われる」っていう確信もありました。

斉: 実際、ALLICIANTって他の美容室と比べて「求められる努力の方向性」が違いますよね。

藤: はい。本当にそこが一番の違いだと思います。一般的な美容室では、カット・カラー・パーマ・人間力・デザイン力・提案力…とにかく“全部”求められる。そのぶん、どこに力を入れればいいのか分からなくて、正直ずっと迷ってました。

斉: たしかに、努力が分散しちゃうと、どれも中途半端になってしまうこともあるかも。

藤: そうなんです。でもALLICIANTは、「カウンセリング」「頭皮と髪質改善の知識」「丁寧な施術」など、努力すべきポイントがはっきりしています。 もちろん壁は高いけど、その分集中できる。限られた時間の中で何をやるべきかが明確だからこそ、学びも成長も深まるんです。

一言で言うと「努力すべき方向」が明確になったことですね。以前は、カット・カラー・パーマ・提案・人間力…全部頑張らなきゃと焦っていました。でもALLICIANTではパーマメニューも無いですし「カウンセリング力」「頭皮・髪質改善の知識」「施術の丁寧さ」に集中できる。だからこそ、壁は高くても、ブレずに成長できるんです。

斉: 努力のポイントが明確になると、力の入り方が変わりますよね。

藤: はい。集中できるから、伸び方も早いです。

【第7章】「本気で変わりたい人」と向き合うということ

斉:
ALLICIANTの一番の特徴って「カウンセリング力」だと思ってるんです。特に頭皮改善って、従来の髪質改善専門店や、デザイン重視のサロンとは全然違うアプローチですよね。

藤:
はい。入ってみて驚いたのが、「このお客様、本当に悩んでるんだな…」っていう切実な空気感でした。
これまでのサロンは、「イメチェンしたい」「なんか雰囲気変えたい」っていうライトな動機が多かったんですけど、ALLICIANTでは「頭皮の炎症がひどくて、どこに行っても改善しなかった」「肌が弱くてカラーが怖い」っていう深刻な悩みばかり。

斉:
その分、こちらの知識や対応力も試されますよね。

藤:
本当にそうです。でも、その分やりがいもすごくあって。
初めてのカウンセリングでお客様の頭皮についてお聞きしている中で、「今こういう状態なので、ここからこう変えていきましょうね」と話したときの安心した表情が忘れられないです。

斉:
「ただの美容師」から「パートナー」になる感じ、ありますよね。

藤:
そうなんです。それまで自分が提供してきたのって“技術”がメインだったんですけど、ALLICIANTでは“寄り添い方”や“伝え方”の方が圧倒的に大事なんだなって気づきました。

斉:
その変化は、自分の中でも大きかった?

藤:
めちゃくちゃ大きかったです。
「この仕事って、こんなに人に寄り添える仕事だったんだ」って。
お客様の髪や頭皮が変わっていくのも嬉しいですけど、「来るのが楽しみです」「ここだけは信頼してる」って言ってもらえることの方が、自分にとっては大きな報酬でした。

【第8章】お客様の“涙”が教えてくれた、技術のその先

斉:
ALLICIANTで特に印象に残ってるお客様とのエピソードってありますか?

藤:
あります。ある40代後半のお客様で、最初は頭皮のかゆみと薄毛がひどくて、ずっと帽子を被って来店されていた方がいたんです。
カウンセリングの時も、すごく緊張されてて…。

斉:
うんうん。

藤:
最初の施術後、「今日は帽子を脱いでも平気かもしれない」って言ってくださったんです。その一言だけでも嬉しかったんですけど、3ヶ月後に「人前で堂々と話せるようになりました」って、目に涙を浮かべながら言われた時は…ちょっと僕もグッときました。

斉:
すごく感動的なエピソードですね。

藤:
美容師として技術で喜んでもらうのも大事ですけど、「その人の人生に少しでも影響を与えられたかもしれない」って感じた瞬間でした。
あれは、忘れられないです。

斉:
それって、まさに“ALLICIANTらしさ”が詰まった体験ですよね。
目の前のお客様の「生活」とか「生き方」まで少し変えてしまう──そんな美容室、なかなかないですから。

藤:
はい。「髪をキレイにする」っていう目的の先に、「自信を取り戻してもらう」とか「前向きに生きてもらう」っていう、別次元の喜びがあるなと実感しました。

【第9章】「この仕事、やっぱり好きだ」──美容師としての誇りを取り戻した瞬間

斉:
お客様の変化を間近で見る中で、「美容師やってて良かったな」と思えた瞬間って増えましたか?

藤:
めちゃくちゃ増えました。ALLICIANTに来てから、お客様との関係性がすごく深くなったんです。
技術を提供して終わりじゃなくて、施術の前も後もずっと会話の中で「その方の人生や悩みに触れる時間」があるというか。

斉:
“施術時間=信頼の蓄積時間”みたいな感じ、ありますよね。

藤:
まさにそうです。カウンセリングも、決してスコープとか機械的な診断ではなくて、
「今日は頭皮がちょっと乾燥気味ですね」とか「赤みが前回より落ち着いてきてますね」って、目視と会話を通してじっくり状態を見ていく。
最初は不安そうだったお客様が、だんだん表情も明るくなっていくのを見ると、自分も本当に嬉しいです。

斉:
その積み重ねがあるからこそ、リピートや信頼につながるんですよね。
今はリピーター比率も9割以上ですし、キャンセルもほぼ出ていないですよね。

藤:
ありがたいことに、そうなんです。最初は「自分にここまでできるのか?」って不安でしたけど、気づけばお客様に支えられてるのは自分の方でした。

斉:
今の働き方って、藤田さんにとってはどんな意味がありますか?

藤:
うーん…
「美容師としての誇りを取り戻せた場所」っていう感覚があります。
以前は、ただ必死にこなす毎日で、「この仕事が好き」って言い切れる余裕がなかったんです。
でも今は、心から「好きだな」と思えるし、「一生続けたいな」と思えるようになりました。

【第10章】“技術より信頼”──10年後にも笑って働けるサロンを目指して

斉:
将来的に藤田さんが目指す姿、夢みたいなものってありますか?

藤:
あります。
まずは、ALLICIANTでオーナーとして店舗経営を成功させて、しっかりと結果を出したいです。
目標としては、年収1,000万円以上を安定的に稼げる美容師であり、経営者になることですね。

斉:
おお…現実的で、でも夢がある。ちゃんと“自分の未来”を描けてるってすごく大事なことだと思います。ALLICIANTはFCオーナーにもなれますしね。

藤:
ありがとうございます。でも、それだけじゃなくて。
これからは「教える側」としても挑戦していきたいんです。
自分が技術や知識、在り方を学ばせてもらったように、
次は僕が、それを伝えていける存在になりたい。

斉:
誰かに還元するフェーズに入ってきた感じですね。若い子とか、悩んでる美容師さんたちに?

藤:
はい。特に、環境に恵まれずに夢をあきらめかけている子たちに対して、
「ちゃんと道はあるよ」って伝えたいですし、発信という形でもそれを広げていきたいと思ってます。
SNSとか動画とか、媒体は問わず、美容師の楽しさややりがいをもっと届けたいんです。

斉:
教育と発信を通して、業界全体を盛り上げていくってことですね。

藤:
そうですね。お客様にもスタッフにも、「美容って本当に素晴らしい仕事だな」って思ってもらえるような環境を、自分の手でつくっていきたい。
それが、自分の人生のテーマになっていくような気がしています。

斉:
それはすごく共感します。ALLICIANTのこれからを支えていくのは、まさに今いるメンバーだと思っていて、
「全員が未来に誇れる美容師人生を歩んでほしい」って本気で願ってます。

藤:
僕も、それは本当に共感します。
売上とか技術とか、もちろん大事ですけど、それ以上に「この場所で人として信頼されてるか」って、すごく大事ですよね。
ALLICIANTって、技術うんぬんじゃなくて「人としてどうあるか」に向き合える場所だと思うんです。

斉:
それ、めっちゃうれしい言葉です。
「心のあり方」って、最終的には技術にも接客にも全部出ますもんね。

藤:
はい。だから、自分もこの環境を壊したくないし、もっと育てていきたいと思ってます。
10年後に「いまが一番楽しいです」って笑って言えてたら最高ですね。

【エピローグ】未来の美容師たちへ──“環境が変われば、人は変われる”

斉:
最後に、このインタビューを読んでる“ちょっと悩んでる美容師さんたち”に伝えたいことがあれば、ぜひお願いします。

藤:
うーん…
「今いる場所がすべてじゃない」って、声を大にして伝えたいです。
僕も最初のサロンで、「努力が報われない」って何度も感じました。
でも、環境が変われば、自分の力を活かせる場所ってちゃんとあるんですよね。

斉:
本当にそうですね。

藤:
ALLICIANTに来て、やっと「ちゃんと向き合える仕事」に出会えた感じがあります。
自分の言葉や提案で、お客様の人生が少しでも変わっていく──
そんな瞬間が、美容師としての喜びなんだって、やっとわかりました。

斉:
藤田さんみたいな人が「この道で良かった」って言ってくれることが、僕にとっても本当に嬉しいんです。
ALLICIANTはまだ発展途中ですが、これからも一緒に、目の前のお客様の未来をつくっていけたらと思っています。
今日は本当にありがとうございました!これからの藤田さんの活動に期待しております!今後も共に美容業界をよくしていきましょう!

藤:
僕1人ではまだまだ出来ない事だらけなのでそう言って頂けると心強いです。今後も精一杯頑張ります!引き続きどうぞ宜しくお願い致します!

まとめ

どんなに努力しても、認めてもらえなかった過去がある。
でも、環境を変えることで「心から笑える美容師人生」が始まった。

技術よりも、知識よりも大切なのは──
「あなたになら任せたい」と思ってもらえる信頼関係。

ALLICIANTで働くということは、
“見た目を変える”こと以上に、
“その人の人生に寄り添う”こと。

もし今、あなたが美容師としての未来に迷っているなら。
この場所が、再スタートのきっかけになるかもしれない。

あとがき

「“技術力”じゃない。“在り方”が人を育てる。」

ALLICIANTを立ち上げたとき、僕の中にあったのは「環境さえ整えば、人はもっと活躍できるはず」という強い思いでした。
そして、それを証明してくれたひとりが、間違いなく藤田諒哉さんです。

彼の魅力は、デザイン技術でも努力量でもありません。
「ちゃんと向き合う力」です。

お客様に対しても、スタッフに対しても、自分自身に対しても、誠実に向き合う。
その姿勢が、いつの間にかお客様の心を動かし、信頼を得て、売上や予約に結びついていく。

たくさんの美容師が「辞めたい」「続けられない」と感じている中で、
彼は「どうすればもっと楽しめるか?」を問い続けてきました。

この記事が、今悩んでいる誰かの背中を押すものになれば嬉しいです。
美容師という仕事の“可能性”は、まだまだこんなもんじゃない。

僕たちALLICIANTは、これからもそう信じて挑戦を続けます。

── ALLICIANT 代表 斉藤章行

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